成年後見には、「法定後見」と「任意後見」の2つがあります。
法定後見制度とは、精神障害や知的障害、認知症などの脳障害により適切な判断ができなくなった方に対して、家庭裁判所が意思決定を助ける人物を選任する制度です。選任にあたっていくつかの条件はありますが、どれもそれほど厳しくはなく、ご家族はもちろん弁護士や司法書士などの専門家も後見人として指定できます。
また、法定後見のレベルはご本人の判断能力に応じて、補助・保佐・後見の三段階に分けられています。
判断能力が完全に不十分だと判断される場合、「後見型」にて、後見人と契約が行われます。
被後見人は「日常生活に関する行為」のみ、単独で行うことが可能です(民法9条但書)。後見人は、日常生活に関する行為以外の「財産に関する全ての法律行為」について、本人に代わって行うことができる代理権とともに、本人のした行為を後から取り消すことができる取消権を有しています(民法9条本文)
判断能力が以前に比べてひどく衰えている場合は、「保佐型」にて後見人と契約を行います。具体的には、「日常的な生活は行えるものの、財産の管理など重要な判断が出来ない」「認知症などの病気により、円滑な日常生活が難しい」などの状況をさしています。
被保佐人は、相続の承認・放棄、自宅の新築・改築・増築や大規模な修繕、借金や債務の保証、不動産の売却などの民法13条1項各号に定められた行為を行う場合、保佐人の同意が必要となります。保佐人の同意がない場合は、本人の行為を取り消すことが可能です。
日常生活を行うことに問題もなく、重要な判断もできるものの、もの忘れや話の理解などに不安を感じる場合、「補助型」にて後見人と契約を行います。補助型の場合、補助人にどこまで同意権・代理権を与えるか決めることができ、申し立ての際に家庭裁判所が定めた特定の法律行為のみに限られます。(例えば、現在住んでいる家のリフォームや公共料金の支払いなど)
任意後見制度とは、判断力が保たれている内に、将来的にご自身の判断能力が低下した時に備えるための制度です。例えば、将来の財産管理・介護サービス締結などの作業に関して、信頼のおける方にお願いする契約を結ぶことになります(任意後見契約)。この契約は、公正証書により締結されます。
※別途、必要経費や実費により費用が変動します。